アニサキス症

アニサキス症とは?Anisakiasis-01

岸和田など海に近い地域では、新鮮な魚を楽しむ機会も多く、
それにともないアニサキス症の患者さんも少なくありません。

「お刺身を食べたあとに、急にお腹が痛くなった」
そんなときは、アニサキス症の可能性があります。

アニサキス症とは、刺身や寿司などの生魚を食べたあとに起こる激しい腹痛を特徴とする、寄生虫による食中毒の一種です。
原因となるのは、魚介類に寄生するアニサキスという寄生虫。
アニサキスは白くて細い糸のような虫で、主にサバ・アジ・イカ・サンマ・サケなどの魚に潜んでいます。

生きたアニサキスが体内に入ると、胃や腸の粘膜に入り込み、強い痛みや吐き気を引き起こします。
症状は胃炎や胃潰瘍に似ていますが、胃カメラで虫体を確認し、その場で摘出することが最も確実な治療法です。

当院では、アニサキス症が疑われる場合、必要に応じて緊急胃カメラにも対応しております。
生魚を食べたあとに急な腹痛やみぞおちの痛みが起きた場合は、我慢せずに早めの受診をおすすめします。

アニサキス症の原因・メカニズム
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アニサキスは本来どこにいるの?

アニサキス(成虫)は、本来クジラやイルカなどの海の哺乳類の胃に寄生している寄生虫です。
その幼虫は、海のプランクトンや小型魚を介して、サバ・アジ・サンマ・イカ・サケなど多くの魚介類に寄生します。

アニサキスは通常、魚の内臓(特に胃や腸)にいますが、魚が死んで時間が経つと、筋肉(身の部分)に移動することがあります。そのため、人が魚を生や半生のまま食べると、アニサキスが体内に入り込むリスクが高くなります。

ここでいうアニサキス症とは、このアニサキスの幼虫によって起こる病気です。

アニサキス症の原因となる代表的な食品

サバ、アジ、イワシ、イカ、サンマ、サケなどの刺身・寿司・しめサバです。

アニサキスは加熱冷凍処理で死滅しますが、「生」や「半生」で食べた場合、体内に入る危険性があります。

十分に加熱されていない場合や、冷凍処理が不十分な場合には感染のリスクがあります。

アニサキス症の症状Anisakiasis-03

アニサキスが体内に入るとどうなる?

人間は本来、アニサキスが成長できる「宿主」ではないため、体内で成虫になることはありません

しかし、人の体内に入ったアニサキスは、胃や腸の粘膜に食い込もうとする性質があります。
これにより、体が「異物」として反応し、強いアレルギー反応や炎症反応を起こします。
その結果、激しいみぞおちの痛みや吐き気が出現します。

また、2回目以降の感染では、たとえアニサキスが死んでいても(加熱・冷凍済みでも)、
アレルギー反応により症状が出ることがあるため注意が必要です。

部位による分類と主な症状

アニサキスが入り込む部位によって、症状の出方や発症までの時間が異なります。

種類発症までの時間主な症状
胃アニサキス症4~8時間最も多いタイプ。みぞおちの激痛、吐き気、嘔吐など。
腸アニサキス症1~数日後腹部の張り、痛み、嘔吐、腸閉塞のような症状。
消化管外アニサキス症数日~数週間後まれ。幼虫が腸壁を突き抜けて腹腔内に移行し、腫瘤や腹膜炎を起こすことがある。

症状の経過による分類

アニサキス症は、症状の出方や経過によって以下のように分類されます。

種類特徴
急性型全体の多くを占めるタイプ。強い痛みや嘔吐を伴う。特に再感染時に起こりやすい。
消化管外アニサキス症炎症が持続して腫瘤をつくることがある。腹痛や違和感が長引く。

アニサキス症かと思ったら・・Anisakiasis-04

自然に治る?それとも治療が必要?

胃の中は強い酸性のため、アニサキスが生きられるのは長くても約4日間とされています。それまでに強い痛みを引き起こすため、自然に治るのを待つのはつらいことが多いです。また、腸まで進むと炎症が広がり、腸閉塞(イレウス)などの合併症を引き起こすこともあります。胃型の場合はカメラ検査で虫体を発見し、除去すると痛みは速やかに改善します。腸型の場合、自然に排出されることもありますが、症状が強い場合は入院治療が必要になることもあります。

アニサキス症の診断・検査Anisakiasis-05

アニサキス症の診断では、典型的な症状と生魚の摂取歴から疑いを持ち、上部内視鏡検査(胃カメラ)で確定診断を行います。必要に応じて、画像検査や血液検査が行われることもあります。

問診(まずは症状や食事歴を確認)

いつ何を食べたかの情報でアニサキス症の可能性をかなり推測できます。

主な症状

激しい腹痛、吐き気、嘔吐、場合によってはアレルギー反応(じんましんや発疹など)

発症のタイミング

生魚や刺身を食べて数時間〜十数時間以内に症状が出ることが多い。

上部内視鏡検査(胃カメラ)

問診と症状から、急性胃アニサキス症を疑った場合は、緊急で胃カメラを行います。胃カメラで幼虫を見つけられれば確定診断となります。

  • 胃や食道の粘膜にアニサキスの幼虫がいるかを直接確認します。
  • 幼虫が見つかれば、その場で鉗子で摘出できることもあります。

画像検査

CTや超音波検査
  • アニサキスそのものは映らないことが多いですが、腸壁のむくみや炎症の確認に役立つことがあります。
  • 腸アニサキス症では、腹部CT検査などを参考に診断しますが、確定診断が難しいことも少なくありません。

血液検査

  • アニサキス特有の抗体を測ることもできますが、発症直後は陰性のことが多いため、診断の補助的な意味合いです。
  • 白血球増加や炎症反応(CRP上昇)が見られる場合があります。

アニサキス症の治療Anisakiasis-06

アニサキス症の治療としては、早期の内視鏡摘出が最も確実な方法です。
特効薬はないため、痛みを和らげる対症療法が中心となります。

胃や腸にアニサキスがいる場合(急性症状がある場合)

内視鏡による摘出

胃カメラ(上部内視鏡)でアニサキスを直接確認し、鉗子で取り除きます。
→ 摘出後は、腹痛や吐き気などの症状が速やかに改善することが多いです。


腸管内の場合

腸に入ったアニサキスは内視鏡で取りにくいため、自然に排出されるのを待つことが多いです。
→ 痛み止めや点滴で症状を和らげます。

薬による治療

  • アニサキスは寄生虫のため、抗生物質や一般的な胃薬では死滅しません。
  • 痛みが強い場合は、鎮痛薬で症状を和らげます。

アレルギー反応(アナフィラキシーなど)がある場合

  • 稀にアニサキスに対してアレルギー反応を起こすことがあります。
    → かゆみ、発疹、呼吸困難、血圧低下などがある場合は、緊急でアドレナリン注射や点滴治療が必要です。

さいごにAnisakiasis-07

症状が軽くても、自己判断せず、できるだけ早めに受診することが大切です。
特に、激しい腹痛や嘔吐、発熱、血便などがある場合は、早めの受診をおすすめします。
アニサキス症の場合、早く受診することで、症状も早く落ち着き、安心して過ごしていただけます。