食道・胃静脈瘤とは?
Esophageal Varices-01
「食道静脈瘤」「胃静脈瘤」は、肝硬変などにより門脈圧(門脈の圧力)が高くなることで、食道や胃の静脈がこぶ状に膨らむ病気です。
- 食道にできたもの → 食道静脈瘤
- 胃にできたもの → 胃静脈瘤
胃静脈瘤は食道静脈瘤より頻度は少ないものの、破裂した際に大量出血しやすい とされ、注意が必要です。
初期には自覚症状がほとんどありませんが、出血すると
- 吐血
- 黒色便(タール便)
- 貧血
などがみられ、生命に危険が及ぶことがあります。
食道・胃静脈瘤ができる仕組み
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食道・胃静脈瘤は、主に肝硬変などによって肝臓の血流に異常が生じることで起こります。
主な流れは次のようになります。
- 肝硬変や慢性肝疾患により、肝臓へ血液が流れにくくなる。
- その結果、門脈(お腹の中の太い静脈)の圧力が高くなる(=門脈圧亢進)。
- 血液が行き場を失い、別のルート(食道や胃の表面を走る静脈)へ迂回するようになる。
- 本来は細い血管に多くの血液が流れ込むことで、血管が拡張して太く・もろくなり、こぶ状に膨らむ。
このように、肝臓の病気による血流の「渋滞」が原因で、食道や胃に静脈瘤が形成されます。
原因となる主な病気としては、
- 肝硬変
- B型肝炎
- C型肝炎
- アルコール性肝障害
- MASLD(脂肪肝関連疾患)
などがあります。
食道・胃静脈瘤の症状Esophageal Varices-03
食道・胃静脈瘤ができた段階では、自覚症状がほとんどありません。
しかし、静脈瘤が破裂すると大量出血を起こすことがあり、緊急性の高い状態となります。
(中でも胃静脈瘤は食道静脈瘤に比べて破裂すると出血量が多く、緊急性はより高いです。)
主な症状としては次のようなものがあります。
- 吐血(とけつ)
-
口から血を吐く症状です。
食道や胃など上部消化管からの出血によるもので、鮮やかな赤い血液や、赤黒い血が胃液と混じって出ることがあります。 - 黒色便(タール便)
-
出血した血液が腸を通過することで、黒く粘り気のある便が出ることがあります。
胃や食道からの出血でみられる代表的な症状です。 - 貧血
-
出血によって血圧の低下やめまい、倦怠感などが生じることがあります。特に急激な出血では急性の出血性貧血を起こすことがあり、速やかな医療対応が必要です。
食道・胃静脈瘤の診断・検査Esophageal Varices-04
食道・胃静脈瘤は、自覚症状がほとんどないまま進行することが多い疾患です。
そのため、肝硬変や慢性肝疾患のある方では、定期的な検査による早期発見が大切です。
当院では、胃カメラとCT検査の両方を院内で実施可能です。
静脈瘤の有無やリスク評価から、肝臓・門脈の状態確認まで、
一貫した検査で総合的に評価いたします。必要に応じて専門病院へ速やかにご紹介いたします。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
食道・胃ともに静脈瘤の診断には欠かせない検査の一つです。
粘膜を直接観察し、静脈瘤の有無・太さ・色調・出血リスクを詳しく確認します。
当院では、NBI(狭帯域光観察)を用いた内視鏡検査にも対応しています。NBIを使用することで、血管や粘膜の変化を強調して観察でき、出血リスクの高い静脈瘤をより詳しく評価できます。
画像検査(CT・超音波検査など)
静脈瘤の原因となる肝臓や門脈の血流異常を調べます。
特にCT検査では、門脈圧亢進の程度や側副血行路の有無などを確認できます。
当院ではこれらの画像検査にも対応しており、必要に応じて他院と連携して精密検査を行います。
血液検査
肝機能、血小板、凝固能などを調べ、肝疾患の進行度や出血のリスクを把握します。
食道・胃静脈瘤の治療Esophageal Varices-05
食道・胃静脈瘤の治療は、大きく分けて「出血時の緊急治療」と「出血予防のための治療」に分けられます。
治療の中心となるのは、内視鏡を用いた治療です。
内視鏡治療
- ① 内視鏡的硬化療法(EIS)
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- 静脈瘤に注射針で硬化剤を注入し、静脈瘤を固める方法です。
- 静脈瘤を直接処置できるため効果的ですが、やや侵襲が大きい場合があります。
- ② 内視鏡的静脈瘤結さつ術(EVL)
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- 内視鏡の先端に輪ゴム(Oリング)を装着し、静脈瘤を縛って血流を止める方法です。
- 比較的低侵襲で体への負担が少なく、安全性が高いため、緊急時の止血にも広く行われています。
- 一方で、再発することがあります。
- ③ NBCA(ヒストアクリル)注入療法
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- 主に胃静脈瘤に対して行われる治療です。
- 胃静脈瘤は太く、出血時に大量出血となりやすいため、瞬間的に固まるNBCA(ヒストアクリル)を注入して止血を行います。
薬物療法
門脈圧を下げる薬を使用し、静脈瘤の出血リスクを軽減します。
IVR(インターベンション)治療
カテーテルを用いて血流を調整する治療です。
- 経皮経肝的塞栓術(PTO)
異常な血流経路を閉塞する治療です。 - 経皮的肝内門脈静脈シャント(TIPS)
門脈圧を下げるため、新たな血流経路を作成する治療です。 - バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)
主に胃静脈瘤に対して行われる治療です。
外科的治療
内視鏡治療やIVR治療でコントロールが難しい場合には、食道離断術などの外科的手術が行われることがあります。
バルーンタンポナーデ法
- 鼻からバルーン付きチューブを挿入し、食道や胃を圧迫して一時的に止血する方法です。
- 緊急時や、全身状態が不安定で内視鏡治療が困難な場合に行われます。
当院での食道・胃静脈瘤への対応Esophageal Varices-06
当院では、食道・胃静脈瘤の早期発見・評価に力を入れております。
胃カメラ検査で静脈瘤が疑われた場合や、出血のリスクがある場合には、輸血や緊急内視鏡治療が可能な専門医療機関へ速やかにご紹介いたします。
万が一、出血が疑われる症状が見られた場合も、救急搬送を含めた適切な対応を行い、安心して治療を受けていただける体制を整えています。
また、治療後や発見後も、定期的な内視鏡検査による長期フォローアップを行い、患者さんの状態を継続的に管理します。
食道・胃静脈瘤は、治療で消失しても、発生原因となる肝臓の状態が改善しない限り再発する可能性があります。
そのため、定期的な検査で経過を観察するとともに、肝疾患の進行による肝不全や肝臓がんのリスクにも注意しながら、肝臓の検査・治療を並行して行うことが大切です。
肝疾患を指摘されたことがある方や、定期的な検査を受けていない方は、お早めにご相談ください。







