胃がんとは?
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胃がんは、胃の内側を覆う粘膜に生じる悪性腫瘍です。
日本では男女ともに発症の多いがんですが、近年はピロリ菌感染者の減少に伴い、発生率は下がりつつあります。
一方で、早期の胃がんは自覚症状がほとんどありません。
症状が出た時にはすでに進行していることもあり、注意が必要ながんのひとつです。
胃がんでは 「早期発見」と「予防」 が特に重要です。
当院では、胃がんを見逃さないために 定期的な内視鏡検査(胃カメラ) を積極的に行っています。
胃がんの主な原因
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胃がんの発生にはさまざまな要因が関与していますが、最も重要なのはピロリ菌感染です。
そのほか、食生活を中心とした生活習慣、家族歴などもリスクを高めることが知られています。
ピロリ菌感染
胃がんの最大のリスク要因として、ピロリ菌感染が知られています。
ピロリ菌は一度感染すると除菌しない限り長期間胃の中にとどまり、持続する炎症が胃粘膜にダメージを与えます。
特に、
- 子どもの頃に感染し、無症状のまま長期間放置される
- 親がピロリ菌感染していた場合、家庭内感染により自身も感染している可能性が高い
といった点が特徴です。
ピロリ菌が胃がんを引き起こす仕組み
- ピロリ菌が胃粘膜に感染
- 慢性的な炎症が続く(慢性胃炎)
- 胃粘膜が薄く弱くなる(萎縮性胃炎)
- 正常細胞が傷つき、がんが発生しやすくなる(胃がんの発症)
また、萎縮性胃炎に伴って生じる良性腫瘍の一種である「胃腺腫」は、胃がんと関連が深いため、発見された場合には注意深い経過観察が必要です。
生活習慣
以下の生活習慣も胃がんリスクを高めることが知られています。
食生活
- 塩分の高い食事
- 加工肉・燻製食品の多用
- 野菜や果物の摂取不足
- 飲酒
直接的な因果関係は明確ではありませんが、飲酒習慣のある方は食道がんのリスクが高く、重複がんとして胃がんがみつかる可能性もあります。 - 喫煙
タバコは胃粘膜にダメージを与え、胃がんリスクを明確に高めます。
食道がんの既往
食道がんは「重複がん」を起こしやすいがんのひとつで、胃がんが発生するリスクも高くなります。
過去に食道がんの診断や治療を受けた方は注意が必要です。
家族歴
家族に胃がんと診断された方がいる場合、
- 遺伝的素因
- 同じ食事・生活環境
が重なり、胃がんリスクが高くなるとされています。
その他の要因
- 慢性的な胃の炎症
- 長期服用の薬剤
胃がんの症状Gastric Cancer-03
初期の胃がんは「無症状」のことが多い!
胃がんは、初期の段階ではほとんど症状がありません。
早期がんは胃の粘膜表面にとどまり、胃の動きや消化機能に大きな影響を与えないためです。
そのため、症状が出てから気づいた場合、すでに進行しているケースも少なくありません。
「症状がない=問題ない」とは言えず、定期的な検査が重要です。
胃がんでみられる可能性のある症状
以下のような症状が現れることがありますが、胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・機能性ディスペプシアなどと非常に似ており、症状だけで胃がんと判断することはできません。
みぞおちの痛み・不快感
- 鈍い痛み、重たい感じ
- 食後に強くなることがある
胃もたれ・食後の膨満感
- 食事量に関係なく「胃が張る」「重い」感覚
- 胃の動きが低下することで起こりやすい
食欲低下
- 特に理由なく食欲が落ちる
- 進行がんでみられやすい
体重減少
- 数週間〜数か月の間に体重が減る
- 食欲低下や栄養吸収の低下が原因
吐き気・嘔吐
- がんが胃の出口を塞ぐ「幽門狭窄(ゆうもんきょうさく)」を起こすと出現
つかえ感・食べ物が通りにくい
- 胃の上部(噴門部)や食道付近にがんがある場合に起こりやすい
- 固形物が飲み込みにくくなる“通過障害”の症状
貧血
- 胃内での慢性的な出血により鉄欠乏性貧血になる
- 動悸、息切れ、だるさなどで気づくこともある
黒色便(タール便)
- 胃からの出血で便が黒くなる
- 比較的はっきりした危険サイン
特に注意が必要な症状
次のような症状がある場合は、胃がんを含めた精密検査(胃カメラ)の受診を強く推奨します。
- 体重が急に減ってきた
- つかえ感がある
- 便が黒い
- 50歳以上で初めて胃の症状が出てきた
- ピロリ菌が陽性
- 萎縮性胃炎を指摘されたことがある
- 家族に胃がんの方がいる
また、「胃薬を飲んでも改善しない胃の不調」も重要なサインです。早めの受診をおすすめします。
胃がんの種類・分類Gastric Cancer-04
胃がんにはいくつかのタイプがあります。
診療や検査の際の目安として、次のように分類されます。
1. 浸潤の深さによる分類
- 早期胃がん:胃の粘膜や粘膜下層にとどまる胃がん。自覚症状は少なく、内視鏡で治療できることもあります。
- 進行胃がん:胃の筋層より深く広がった胃がん。症状が出やすく、手術や薬物療法が必要になることがあります。
2. 組織型(がんの性質による分類)
- 分化型:腺管構造を作りながら増殖するタイプ。比較的増殖はゆっくり。
- 未分化型(びまん浸潤型):広範囲に広がるように増殖するタイプで、早期には見つかりにくいことがあります。進行が早く、悪性度が高い傾向があります。
- スキルス胃がん:未分化型に多く含まれるタイプで、胃の壁全体に広がります。早期には症状がほとんど出ず、発見が難しいことがあります。比較的若い世代にもみられることがあります。
スキルス胃がんの特徴
症状が出にくい
- 初期には胃もたれや軽い痛みなど一般的な胃不快感しかなく、胃炎や胃潰瘍と区別しにくい。
- 胃の壁全体に広がるため、腫瘍の表面が目立たず、内視鏡での発見が難しい場合がある。
胃の形が変化する
- 胃の壁が厚く硬くなることで、胃の形が縮む「ひょうたん型」や「石のように硬い胃」になることがある。
若い人でも発症することがある
- 一般的な胃がんは50歳以上に多いですが、スキルス胃がんは40歳前後でも見られることがある。
進行が早く、診断後の治療が難しい場合がある
- 胃の全体に広がるため、手術が大きくなることや、薬物治療が必要になることがある。
3. 肉眼的分類(内視鏡での診断補助)
内視鏡による見た目の特徴での分類で、主に医師が診断や治療方針を決める際の目安となります。
- 早期胃がん(0型=表在型)
-
- 粘膜内にとどまる胃がん。
- 0-I:隆起型/0-IIa:わずかに隆起型/0-IIb:平坦型/0-IIc:軽く凹んだ型/0-III:深く陥凹した潰瘍型
- 進行胃がん(1~5型)
-
- 1型:隆起型(見つけやすい)
- 2型:潰瘍限局型
- 3型:潰瘍浸潤型
- 4型:びまん浸潤型(スキルス胃がん)
- 5型:分類不能型
4. 進行度分類(TNM分類)
TNM分類は、がんの進行度を3つの要素で評価する国際的な基準です。
- T(Tumor):原発腫瘍が胃壁のどの層まで浸潤しているか
- N(Node):リンパ節への転移の有無および範囲
- M(Metastasis):遠隔臓器への転移の有無
診断には、胃内視鏡検査(胃カメラ)や腹部CT・MRIなどの画像検査を組み合わせ、腫瘍の局所進展やリンパ節・遠隔転移の有無を評価します。この評価に基づき、TNM分類を用いてがんのステージを決定し、最適な治療方針を立てます。
胃がんの診断・検査Gastric Cancer-05
胃がんは初期には自覚症状がほとんどないことが多いため、正確な診断には複数の検査を組み合わせることが重要です。
とくに 確定診断には上部内視鏡検査(胃カメラ)が最も重要 であり、当院でもまず胃カメラを中心に評価を行います。
1. 問診・診察
まずは、症状や生活背景を丁寧に確認します。
- 症状:腹痛、胸やけ、食欲不振、体重減少、貧血、吐血など
- 家族歴、ピロリ菌感染歴、既往歴
- 腹部の触診・打診・聴診などの身体診察
2. 血液検査
内視鏡検査の補助として、胃がんリスクや全身状態を確認します。
- 貧血の有無(消化管からの慢性出血の可能性)
- 腫瘍マーカー:CEA、CA19-9など
※あくまで“補助的”で、腫瘍マーカーのみで診断はできません - ABC検診(ピロリ抗体+ペプシノーゲン)
胃がんのリスクを血液で評価する方法で、ハイリスク層の選別が可能です。
※あくまで胃がん“リスク評価”であり、診断検査ではありません
3. 画像検査
内視鏡では確認できない腫瘍の広がりや転移を調べます。
上部消化管造影(バリウム検査)
胃の形態異常や粘膜の隆起などを確認しますが、
現在は 精度の高い消化管内視鏡に置き換わることが多く、当院では実施しておりません。
腹部CT
- 胃壁への浸潤範囲
- 周囲リンパ節の腫大
- 肝臓・肺などの遠隔転移
当院ではCT検査が可能です。
MRIが必要な場合は、連携先医療機関へ速やかにご紹介いたします。
PET-CT(必要に応じて)
必要に応じて、転移の有無やリンパ節への広がりを評価するためにPET-CT検査を行うことがあります。
当院ではPET-CT検査は実施しておりませんので、必要な場合は適切な医療機関をご紹介いたします。
4. 上部内視鏡検査(胃カメラ)+生検(組織診断)
胃がん診断の中心となる検査です。
- 粘膜を直接観察し、腫瘍の形態・大きさ・色調変化を詳細に確認
- 必要に応じて組織を採取し、病理検査で確定診断
- 近年は内視鏡技術の進歩により、早期胃がんの発見精度が大きく向上しています。
ABC検診(胃がんリスク評価)とは?
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胃がんのリスクを血液検査で簡単に評価できる方法として、ABC検診(胃がんリスク評価)があります。
検査結果はA〜Dの4つのグループに分類され、ピロリ菌の感染の有無や胃の萎縮の程度によって胃がんリスクが低い順に示されます。
- A群:ピロリ菌陰性・萎縮なし(低リスク)
- B群:ピロリ菌陽性・萎縮なし(ややリスクあり)
- C群:ピロリ菌陽性・萎縮あり(リスク高)
- D群:ピロリ菌陰性・萎縮あり(リスク非常に高)
この4群すべてを含めてABCD検診と呼ぶこともあり、ABC検診と同じ内容です。
1. ABC検診と胃がん検診との違い
ABC検診(胃がんリスク評価)は『胃がん検診』に代わるものではありません。胃粘膜の萎縮の有無、ピロリ菌感染の有無=胃がんのリスクが高いかどうかを調べる検査です。当院では、正確な診断のために胃カメラ(内視鏡検査)を推奨しています。
胃がんの治療
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胃がんの治療は、がんの進行度や種類、患者さんの体の状態によって最適な方法が異なります。当院では、患者様一人ひとりに合った治療方針を丁寧に説明し、安心して治療を受けていただけるよう心がけています。
1. 胃がん治療の基本方針
治療方針は主に以下の要素で決まります。
- がんの進行度(ステージ)
-
- 早期胃がん:粘膜や粘膜下層にとどまるがん
- 進行胃がん:筋層や漿膜まで広がるがん、または転移を伴う場合
- がんの種類・位置
-
- 胃のどの部位にあるか(胃体部、幽門部、噴門部など)
- スキルス胃がんなどの特殊型かどうか
- 全身の状態
-
- 高齢や持病の有無
- 手術が可能かどうか
2. 主な治療方法
胃がんの治療は、がんの進行度によって大きく分かれます。
- 早期胃がん
-
- 内視鏡でがんを切除する方法が中心
- 体への負担が少なく、胃を温存できる
- 進行胃がん
-
- 外科手術(胃切除)
- 抗がん剤(化学療法)
- 放射線療法
- 状況に応じて組み合わせて治療します
(1) 内視鏡治療(EMR・ESD)
早期胃がんでリンパ節転移のリスクが低い場合に行われます。
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
-
- 小さな浅いがんを切り取る方法
- 胃をほとんど残せる
- 体への負担が少ない
- ただし、大きながんや形が複雑ながんには向きません
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
-
- 大きながんや複雑な形のがんにも対応可能
- がんを一度できれいに切除できるため、再発リスクが低い
- 治療時間はやや長め(1〜2時間程度)
現在、胃がんの内視鏡治療では ESDが主流 です。
(2) 外科的手術
- 方法
-
- がんの広がりに応じて胃の一部または全体を切除
- 胃の周囲のリンパ節も一緒に切除(リンパ郭清術)
- 近年は体への負担が少ない腹腔鏡手術が主流
- ロボット支援手術を行う施設もあります
- 特徴
-
- 進行度や腫瘍の位置によって切除範囲が決まります
(3) 化学療法(抗がん剤治療)
- 目的
-
- 手術前に腫瘍を小さくして手術しやすくする(術前補助化学療法)
- 手術後の再発予防(術後補助化学療法)
- 手術が難しい進行・再発胃がんの治療
- 特徴
-
- 手術と組み合わせることで治療効果が向上
(4) 放射線治療
- 目的
-
- 出血や痛みなど症状緩和の目的で行われることがあります
- 特徴
-
- 化学療法と併用されることが多い
(5) 緩和治療
- 対象:末期胃がん、再発胃がん
- 目的:痛みや出血、胃や腸の通りにくさを改善し、生活の質を高める
3. 特殊な胃がん:スキルス胃がん
スキルス胃がんは胃壁全体にがんが広がるタイプで、初期には粘膜に出にくく診断が遅れやすい特徴があります。
手術だけでは根治が難しい場合もあり、化学療法と組み合わせた治療が重要です。
4. 当院でのサポート
胃がんが見つかった場合でも、当院では 患者さんの治療経過や体調をしっかりフォロー していきます。
必要に応じて 連携病院への紹介 も行い、スムーズに治療を受けていただける体制を整えています。
さいごに
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胃がんは早期では症状が出ないことが多いですが、
早期に発見できれば体への負担が少ない治療で完治が期待できます。
ご家族にピロリ菌感染や胃がんの診断を受けた方がいる場合は、一度胃カメラを受けることをおすすめします。
また、症状がなくても定期的な胃カメラ検査を行い、胃がんを早期に発見することが大切です。
当院では、苦痛の少ない胃カメラを心がけ、胃がんを早期に発見できるよう努めています。
また、胃がんは治療後も定期的な経過観察が重要です。
当院では、内視鏡検査や治療後の経過観察を通じて、患者さん一人ひとりをしっかりサポートします。
胃がんに関して、何か気になることやお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。







