胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは?Gastric & Duodenal Ulcers-01
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃酸やピロリ菌などの影響で、胃や十二指腸(胃の出口から続く小腸の一部)の粘膜に深い傷(潰瘍)ができる病気です。
本来、胃や十二指腸の粘膜は強い胃酸から守られる仕組みを持っています。しかし、
- ピロリ菌感染
- 薬(NSAIDsなど)
- ストレス
- 生活習慣の乱れ
などによって防御機能が弱まると、粘膜が傷つき潰瘍が形成されます。
胃の不快感、みぞおちの痛み、胸やけなどの症状を起こし、時に出血や貧血症状を伴うこともあります。
胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違い
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胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、いずれも胃酸やピロリ菌などが原因で粘膜に深い傷(潰瘍)が生じる病気で、胸やけ・胃痛・吐き気など共通の症状が現れます。
しかし、両者を比較すると、症状の出現時間に特徴的な違いがあります。
胃潰瘍
食後に痛みや不快感が強くなることが多い
→ 食べたものが胃を刺激するため、食後に症状が出やすい
十二指腸潰瘍
空腹時や夜間に痛みが現れやすい
→ 胃酸が十二指腸の粘膜に直接触れることで、食間や夜間に症状が出やすい
以下胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違いを比較しやすく表にまとめました。
| 項目 | 胃潰瘍 | 十二指腸潰瘍 |
|---|---|---|
| 発生部位 | 胃の粘膜 | 十二指腸(胃のすぐ先の腸) |
| 痛みのタイミング | 食後に痛むことが多い | 空腹時や夜間に痛むことが多い |
| 原因の割合 | ピロリ菌、NSAIDs、ストレスなど | ピロリ菌が主原因(NSAIDsも少数) |
| 年齢層 | 中高年に多い | 若年〜中年に多い |
| 合併症・注意点 | 胃がんとの鑑別が必要 | がんとの関連は少ない |
| 診断での特徴 | 胃カメラで胃粘膜に潰瘍を確認 | 胃カメラで十二指腸球部に潰瘍を確認 |
| 再発の傾向 | 再発率は低めだが除菌が重要 | 再発率はやや高めだが除菌で減少 |
胃・十二指腸潰瘍の原因Gastric & Duodenal Ulcers-03
多くはピロリ菌感染や解熱鎮痛薬(NSAIDs:ロキソニン®、イブプロフェンなど)の使用によるもので、
生活習慣やストレスは補助的な要因として関与するケースが多いです。
ピロリ菌感染
- ピロリ菌(Helicobacter pylori)に感染すると、粘膜に慢性的な炎症が起こり、潰瘍の発生リスクが高まります。
- 消化性潰瘍の約70〜80%はピロリ菌が関与しているとされています。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリンなど。
- 胃粘膜の防御機能を低下させ、胃酸によるダメージを受けやすくなる。
- 高齢者や長期服用者で特に注意が必要。
- 市販の痛み止めを頻繁に使用している方も注意が必要です。
胃酸の過剰分泌
- ストレス、睡眠不足、暴飲暴食、喫煙、カフェインなどが関与することがあります。
その他の原因
- アルコールの過剰摂取
- 胃の血流障害(循環不全)
- 稀に腫瘍や特定の遺伝的要因
胃・十二指腸潰瘍の症状Gastric & Duodenal Ulcers-04
胃・十二指腸潰瘍の症状には比較的特徴がありますが、痛みの出現時期や感じ方には個人差があります。
胃痛・腹部不快感
- 食後(胃潰瘍)/空腹時・夜間(十二指腸潰瘍)で変化
- 痛みは「チクチク」「ズキズキ」「焼けるような感じ」などさまざま。
胃もたれ・膨満感
- 食後に胃が重い、張る感じがする。
- 食欲不振や早期満腹感を伴うこともあります。
吐き気・嘔吐
- 胃酸の逆流や炎症により、軽い吐き気が起こることがあります。
- 嘔吐はまれですが、出血を伴う場合には血が混じることも。
食欲低下・体重減少
- 症状が長引く場合、食欲が落ちることがあります。
出血の症状(重症例)
- 黒色便(タール便)
- 吐血(血が混じった嘔吐)
- 立ちくらみ・貧血症状
早急な受診が必要です。
その他
- 胸やけ、酸っぱいげっぷなども伴うことがあります。
- 初期は症状が軽く、気づかないこともあります。
胃・十二指腸潰瘍の診断・検査Gastric & Duodenal Ulcers-05
潰瘍の有無、重症度、出血の評価のため、胃カメラが最も重要です。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
- 最も確実な診断方法です。
- 粘膜を直接観察し、潰瘍の有無・大きさ・深さ・出血の有無を確認できます。
- 必要に応じて組織を採取し(生検)、ピロリ菌感染や悪性の可能性を調べます。
造影検査(バリウム検査)
- 胃・十二指腸の形や潰瘍の存在を間接的に評価できます。
- 内視鏡より診断精度は劣りますが、内視鏡が難しい場合に利用されることがあります。
- 当院ではバリウム検査は行っておりません。検診などでバリウム検査の結果、異常を指摘された方には、確定診断のために当院で上部内視鏡検査(胃カメラ)を実施いたします。
ピロリ菌の検査
- 血液抗体検査、尿素呼気試験、尿迅速検査(尿中抗体検査)などがあります。
血液検査
- 出血や貧血の有無を確認するために行われます。
- 胃・十二指腸潰瘍そのものを確定する検査ではありませんが、合併症の評価に役立ちます。
その他
- 胃酸の分泌量を調べる検査(特殊な施設でのみ実施)
- 重症例では画像検査(CTなど)で穿孔・出血などの合併症の評価を行うこともあります。
胃・十二指腸潰瘍の治療Gastric & Duodenal Ulcers-06
治療は、原因や症状の程度によって決まります。
主に「薬物療法」と「生活習慣の改善」が中心です。
薬物療法
ピロリ菌除菌療法
- ピロリ菌の感染がある場合は速やかに除菌治療を開始します。
- ピロリ菌の除菌は、胃・十二指腸潰瘍の再発予防に非常に重要です。
胃酸分泌抑制薬
- プロトンポンプ阻害薬(PPI):オメプラゾール、ランソプラゾールなど
→ 胃酸分泌を強力に抑え、潰瘍の治癒を促進 - H2受容体拮抗薬:ファモチジン、ニザチジン など
→ 胃酸を抑えて症状改善に有効
胃粘膜保護薬
- スクラルファート、ミソプロストールなど
- 胃粘膜を保護し、潰瘍の治癒を助けます。
生活習慣の改善
- NSAIDsの使用中止または変更
- 禁煙、節酒
- 規則正しい食事、刺激物(辛いもの、カフェインなど)の控えめ
- ストレス管理、十分な睡眠
合併症への対応
- 出血、穿孔、胃の狭窄など重症の場合は内視鏡的治療や手術が必要になることがあります。
- 出血や穿孔などの重症と判断された場合には、適切な治療が可能な他の医療機関へ速やかにご紹介いたします。
さいごにGastric & Duodenal Ulcers-07
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、早期に適切な治療を行えば多くの場合改善が見込めます。
症状が長引く場合や、普段と違う強い痛み、吐血・黒色便などがある場合は、我慢せずに早めに受診してください。
当院では、苦痛の少ない内視鏡検査を心がけ、安心して治療を受けていただける体制を整えております。







