逆流性食道炎(GERD)

胃食道逆流症(GERD)との関係についてGastroesophageal Reflux Disease-01

一般的に“逆流性食道炎”と呼ばれている病気は、医学的には『胃食道逆流症(GERD)』という病気の一部です。

胃食道逆流症(GERD)は、英語の Gastroesophageal Reflux Disease の略で、胃の中の酸(胃酸)や食べ物が食道に逆流することで、胸やけやのどの違和感、咳などの症状が出る病気です。

日本では「逆流性食道炎」という名前の方がなじみ深いですが、実際には

  • 食道に炎症があるタイプ➡逆流性食道炎
  • 炎症はないけれど症状があるタイプ➡非びらん性胃食道逆流症(NERD)の両方を含めて「胃食道逆流症(GERD)」と呼びます。

逆流性食道炎とは?
Gastroesophageal Reflux Disease-02

胃と食道のつなぎ目には「下部食道括約筋(LES)」という筋肉があり、普段は胃酸などが食道へ逆流しないように守っています。
しかし、この筋肉が弱くなったりゆるんだりすると、胃の内容物(とくに胃酸)が食道に逆流し、粘膜に炎症を起こすことがあります。
食道は胃酸に弱いため、炎症が続くと「逆流性食道炎」と呼ばれる病気になります。

症状が長引くと、胸やけやのどの違和感が続くだけでなく、睡眠障害を伴うことが多く、生活の質(QOL)を大きく低下させます。
また、長期間炎症が続くと、「バレット食道」と呼ばれる状態を経て、まれに食道がんにつながることもあるため注意が必要です。
適切な治療を行うことで、症状の改善が期待できます。
胸やけ、のどの違和感、咳が続くなど気になる症状があるときは、早めに当院へご相談ください。

逆流性食道炎の原因・リスク因子Gastroesophageal Reflux Disease-03

逆流性食道炎は、いくつかの原因が重なって起こります。

腹圧の上昇

肥満、妊娠、前かがみの姿勢、きついベルトや服による締め付けなどにより、おなかに強い圧力がかかることで逆流が起こりやすくなります。

体の変化

胃の手術後(位置や形の変化)、食道裂孔ヘルニアの発症、妊娠などのホルモンバランスの変化や加齢による筋力低下により逆流が起こりやすくなります。

食生活の影響

脂っこい食事、アルコール、寝る前の食事などは、胃酸分泌を促して下部食道括約筋を一時的に緩ませる原因になります。炭酸、早食い、食べ過ぎも胃内圧を高めて逆流が起こりやすくなります。

ストレスや生活リズムの乱れ

睡眠不足や自律神経の乱れが胃酸の出方や食道の敏感さに影響することがあります。

喫煙習慣

タバコに含まれるニコチンには、胃酸の分泌量を増加させ、唾液の分泌を低下させる作用があり、胃酸が食道へ逆流しやすくなります。

薬剤の影響

Ca拮抗薬などの特定の薬剤が下部食道括約筋を緩ませることがあります。

逆流性食道炎の症状Gastroesophageal Reflux Disease-04

逆流性食道炎の主な症状は以下の通りです。
少しでも当てはまる症状があればお早めにご相談ください。

  • 胸やけ、焼けるような痛み
  • 呑酸(酸っぱいものが喉や口に上がってくる感覚)
  • 胸部・みぞおちの痛み・不快感
  • げっぷ、胃もたれ
  • のどの違和感、声のかすれ、慢性的な咳
  • 横になったときや就寝中に症状が強くなる

逆流性食道炎の診断・検査Gastroesophageal Reflux Disease-05

問診や症状から逆流性食道炎が疑われる場合は、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を行い、食道や胃の状態を直接確認します。
胃カメラ検査では、逆流性食道炎の有無だけでなく、胃がん・食道がん・胃潰瘍など、ほかの病気が隠れていないかも確認することができます。
胸やけやのどの違和感が続く場合は、一度検査を受けることをおすすめします。
当院では、できるだけ苦痛や不安に配慮した内視鏡検査を心がけています。
「検査がつらそうで不安…」「以前の検査が苦しかった…」という方も、安心してご相談ください。

逆流性食道炎の治療Gastroesophageal Reflux Disease-06

治療は主に 内服(薬物療法) + 生活習慣改善 の両軸で行われます。

内服(薬物療法)

  • 胃酸分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬=PPI や H2ブロッカーなど)を用います。
  • 症状や炎症の程度によっては、消化管運動改善薬、制酸薬、粘膜保護薬を併用することもあります。

生活習慣改善

主な対策には以下があります

  • 食べ過ぎや早食いを避け、腹八分目を心がける
  • 脂肪、刺激物、アルコール、カフェイン、炭酸飲料などを控える
  • 食後すぐ横にならない(就寝 2〜3時間前には食事を終える)
  • 体重の管理(肥満の改善)
  • 締め付けの強い服装を避ける
  • 前かがみの姿勢を避ける、上半身を少し高くして寝る
  • 禁煙、ストレス管理など

多くの場合、適切な治療と管理で症状は改善しやすいですが、 再発しやすい疾患 でもあるため、継続的なケアが重要です。

さいごにGastroesophageal Reflux Disease-07

逆流性食道炎は、適切な治療によって症状の改善が期待できる病気です。
一方で、再発しやすい病気でもあるため、症状に合わせた継続的な管理が大切です。
胸やけやのどの違和感など、気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。