感染性腸炎

感染性腸炎とは?
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感染性腸炎とは、細菌やウイルスなどの病原体が腸に感染し、腸の粘膜に炎症を起こす病気です。
汚染された食品を摂取すること(食あたり・食中毒)や、ウイルス感染、まれに性行為を介した感染などが原因となることがあります。

炎症が大腸まで及ぶと、下痢・腹痛・血便といった症状が目立つようになります。
血流障害が原因となる虚血性大腸炎とは異なり、感染が原因で起こる腸炎であり、
人から人へ感染したり、食品を介して発症したりすることがあります。

感染性腸炎の原因
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感染性腸炎は、原因となる病原体の種類により、
①細菌性、②ウイルス性、③寄生虫・原虫によるもの、④まれに性行為を介して感染するものに分類されます。

細菌性腸炎

主に汚染された食品や水を介して感染します。
代表的な原因菌には、

  • サルモネラ菌
  • カンピロバクター
  • 腸管出血性大腸菌(O157 など)
  • 赤痢菌

などがあります。
これらはいわゆる「食中毒」として知られていますが、
症状が大腸に強く出る場合は、感染性腸炎として扱われます。

ウイルス性腸炎

主に人から人への接触感染や、汚染された食品を介して広がります。

  • ノロウイルス
  • ロタウイルス(主に小児)

が代表的です。
ウイルス性腸炎は、冬季に流行しやすいという特徴があります。

寄生虫・原虫による腸炎

寄生虫や原虫が腸に感染することで起こる腸炎です。
日本国内では多くありませんが、海外渡航後にみられることがあります。

主な原因
  • アメーバ(赤痢アメーバ)
  • ジアルジア など
感染のきっかけ
  • 衛生環境が十分でない地域での飲食
  • 生水や十分に加熱されていない食品の摂取

症状が数週間以上続く場合や、海外渡航後に下痢・血便が出現した場合には、
寄生虫・原虫感染を考慮して検査を行います。

まれに性行為を介した感染による腸炎

一部の感染症では、性行為を介して感染することがあります。

原因となる病原体の例
  • 赤痢アメーバ
  • 赤痢菌
  • 淋菌やクラミジア(肛門・直腸に感染した場合)
感染のきっかけ
  • 衛生環境が十分でない地域での飲食
  • 生水や十分に加熱されていない食品の摂取

症状は一般的な感染性腸炎と区別がつきにくいこともあります。

感染性腸炎の症状
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感染性腸炎では、細菌やウイルスなどの感染によって腸に炎症が起こり、
さまざまな消化器症状や全身症状が現れます。
症状の出方や強さは、原因となる病原体や体調によって異なります。

主な症状

  • 下痢(水様便〜泥状便)
  • 腹痛
  • 発熱
  • 吐き気・嘔吐
  • 全身のだるさ(倦怠感)

感染性腸炎では、急に下痢と発熱が同時に起こることが多いのが特徴です。

炎症が強い場合にみられる症状

腸の炎症が強くなると、次のような症状がみられることがあります。

  • 血便
  • 粘液便
  • 排便回数の増加
  • 便意を何度も感じる(しぶり腹:残便感を伴う便意)

特に血便がみられる場合は、虚血性大腸炎や他の大腸疾患との鑑別が重要になります。

症状の経過について

  • 多くの場合、数日〜1週間程度で自然に改善します
  • ウイルス性では、嘔吐や発熱が先行することがあります
  • 細菌性では、腹痛や血便が目立つことがあります

ただし、症状が長引く場合や悪化する場合には注意が必要です。

受診をおすすめする症状

次のような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 血便が出た
  • 高熱が続く
  • 強い腹痛がある
  • 下痢が長引く
  • 脱水症状が疑われる

感染性腸炎の診断・検査Infectious Enteritis-04

感染性腸炎は、症状・経過・検査結果を総合して診断します。
原因となる病原体によって治療方針が異なるため、必要に応じて検査を行います。

STEP
問診・診察

まず、症状や経過について詳しくお話を伺います。

  • 下痢や腹痛の始まった時期
  • 発熱や嘔吐の有無
  • 食事内容(食あたりの可能性)
  • 周囲に同じ症状の人がいるか
  • 海外渡航歴
  • 服用中の薬

これらの情報は、ウイルス性か細菌性かを推測する重要な手がかりになります。

STEP
便検査

必要に応じて、便を調べて原因を確認します。

  • 細菌培養検査
  • ウイルス抗原検査
  • 寄生虫・原虫の検査

血便がある場合や、症状が強い・長引く場合には、原因特定のために便検査を行うことがあります。

STEP
血液検査

次のような場合に行います。

  • 発熱が強い
  • 全身状態が悪い
  • 脱水が疑われる場合

血液検査では、炎症の程度や脱水の有無を確認します。

STEP
画像検査(腹部CT)

次のような場合には、腹部CT検査を行うことがあります。

  • 強い腹痛がある
  • 症状が改善せず悪化している
  • 高熱が続く
  • 重症化が疑われる場合
  • 他の病気との鑑別が必要な場合
STEP
内視鏡検査(大腸カメラ)

感染性腸炎では、必ずしも全員に行う検査ではありません。
次のような場合に、鑑別のため行うことがあります。

  • 血便が続く
  • 症状が改善しない
  • 他の大腸疾患(虚血性大腸炎、炎症性腸疾患など)が疑われる場合

内視鏡検査により、腸の炎症の状態や出血の原因を直接確認します。

感染性腸炎の治療Infectious Enteritis-05

感染性腸炎の治療は、原因や症状の重さに応じて行います
多くの場合、安静と水分補給を中心とした対症療法で改善します。

安静・水分補給

治療の基本は、胃腸を休め、脱水を防ぐことです。

  • 水分をこまめに摂る
  • 経口補水液の使用
  • 無理に食事を取らない

嘔吐や下痢が強い場合は、点滴治療を行うこともあります。

薬物療法(対症療法)

症状に応じて、次のような薬を使用します。

  • 整腸剤
  • 吐き気止め
  • 解熱鎮痛薬

※下痢止めは、症状や原因によって使用しないこともあります。

抗菌薬(抗生物質)について

感染性腸炎では、抗菌薬が必要ない場合が多いのが特徴です。

  • ウイルス性腸炎:抗菌薬は効果がありません
  • 軽症の細菌性腸炎:自然に改善することが多い

一方で、次のような場合には、原因菌に応じて抗菌薬を使用します。

  • 重症の場合
  • 血便がある場合
  • 高熱が続く場合
  • 免疫力が低下している方

入院が必要になるケース

多くは外来治療で改善しますが、次のような場合には入院治療が必要となることがあります。

  • 強い脱水症状
  • 経口摂取ができない
  • 高齢者や基礎疾患がある場合
  • 重症感染が疑われる場合

回復までの経過

  • 症状は数日〜1週間程度で改善することが多い
  • 下痢が完全に治まるまで少し時間がかかることがあります

症状が改善しても、無理をせず体調を整えることが大切です。

自宅での注意点・過ごし方Infectious Enteritis-06

感染性腸炎の回復を早めるためには、無理をせず、体を休めることが大切です。

  • 水分は少量ずつ、こまめに摂りましょう
  • 経口補水液の利用もおすすめです
  • 食事は無理に取らず、症状が落ち着いてから消化のよいものから再開します
  • アルコールや脂っこい食事、刺激物は控えましょう
  • 発熱や下痢が強い間は、入浴は短時間かシャワー程度にしましょう

症状がある間は、十分な休養を心がけてください。

通勤・通学の目安
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感染性腸炎の通勤・通学に関して、明確な統一ルールはありません
一般的には、解熱し、腹痛や下痢などの症状が落ち着くまでが、休養の目安のひとつと考えられます。

少なくとも症状がある間は、無理な外出は控えることが大切です。

  • 発熱、嘔吐、頻回の下痢がある間は、通勤・通学を控えましょう
  • 症状が落ち着き、通常の食事が取れるようになってから再開が目安です
  • ノロウイルスなど感染力の強い場合には、症状が改善したあともしばらく注意が必要です。
  • 食品を扱う仕事や、保育・介護に関わる方は、特に注意が必要です

復帰のタイミングについては、職場や学校の規則に従い、必要に応じて医師へご相談ください。

周囲への感染予防についてInfectious Enteritis-08

感染性腸炎は、周囲の人へうつる可能性があります。
家庭内や職場での感染を防ぐため、次の点に注意しましょう。

  • トイレ後や食事前の手洗いを徹底する
  • タオルや食器の共用は避ける
  • トイレやドアノブなど、よく触れる場所を清潔に保つ
  • 下痢が治まるまでは、調理は控える

日常的な感染対策が、周囲への感染拡大を防ぎます。

さいごに
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感染性腸炎は、下痢や腹痛、発熱などの症状が急に現れることが多い病気です。
多くの場合は、安静と水分補給を中心とした対処で自然に改善します。

一方で、血便や強い腹痛がある場合、症状が長引く場合には、大腸カメラなどの精密検査が必要になることもあります。

無理をせず、症状に応じた対応を行うことが大切です。
気になる症状がある場合や判断に迷う場合には、自己判断せず、お早めに当院へご相談ください。