急性胃炎とは?Acute Gastritis & Duodenitis-01
胃の粘膜に急に炎症が起こり、胃痛や吐き気などの症状が現れる病気です。
原因はさまざまですが、一時的な刺激やストレス、薬の影響などによって胃の粘膜がダメージを受けて発症します。
多くは一過性で、適切な治療により数日〜1週間ほどで回復します。
ただし、食あたり(食中毒)の場合は、点滴治療が必要になったり、原因によっては治るまでに1週間ほどかかる場合があります。
感染性胃腸炎の場合には周囲の方へ感染する可能性があるため、回復まで仕事や学校を休む必要が生じることもあります。みぞおちの痛みや胃もたれ、吐き気、黒っぽい便などの症状がある場合は、急性胃炎である可能性がありますので自己判断せず早めに医療機関を受診することをおすすめします。
急性胃炎の原因
Acute Gastritis & Duodenitis-02
| 原因 | 内容・特徴 |
|---|---|
| 生活習慣によるもの | 暴飲暴食、アルコール、ストレス、刺激物(唐辛子・ニンニク)の摂取など |
| 薬によるもの | NSAIDs(ロキソニン等)・ステロイド・抗血小板薬などで胃粘膜が傷つく。 |
| 感染によるもの | 細菌・ウイルスによる食中毒、寄生虫(アニサキスなど)による炎症など。 |
| ストレスによるもの | 手術後や高熱、精神的ストレスなどで胃酸が増加し粘膜障害を起こす |
| 腐食性・薬品誤飲によるもの | 異物(魚の骨、義歯、薬剤のPTP包装、硬貨、ボタン電池、防虫剤、タバコ、釘、洗剤、農薬 など)を誤って飲み、胃粘膜が強く損傷される。 |
急性胃炎の症状Acute Gastritis & Duodenitis-03
急性胃炎の症状として以下のものが挙げられます。
- みぞおちの痛み
- 吐き気、嘔吐
- 胃もたれ、膨満感
- 食欲不振
- 黒っぽい便(出血がある場合)
急性胃炎の場合、通常は数日~1週間で自然に回復しますが、以下の症状がある場合は 早めの受診が必要 です。
すぐに受診したほうがよい症状
- 激しい腹痛が続く
- 嘔吐が止まらない、または血が混じっている
- 黒色便(消化管からの出血の可能性)
- 高熱(38℃以上)
- 脱水症状(めまい、尿が少ない、口が渇く)
- 症状が2日以上改善しない
- 持病がある(免疫力が低い人で症状が強い)
急性胃炎の診断・検査Acute Gastritis & Duodenitis-04
症状や食事内容、生活習慣などを確認し、急性胃炎が疑われる場合には、
診断に最も有用なのは上部内視鏡検査(胃カメラ)です。
- 胃の粘膜の状態を直接確認できるため、炎症の程度や出血の有無を正確に把握できます。
- 必要に応じて組織を採取(生検)し、炎症の程度や他の病気との鑑別を行うことがあります。
- 出血源が明らかな場合には、その場で止血処置を行ったり、魚の骨やボタン電池などの異物を取り除くこともできます。
急性胃炎の代表的な内視鏡所見
| 分類名 | 特徴・説明 |
|---|---|
| 表層性胃炎 | 胃粘膜の表面が赤くなり、軽い炎症を起こしている状態。 |
| びらん性胃炎(出血性胃炎) | 粘膜の表面がただれ、小出血を伴う。薬剤性やストレスで多い。 |
| タコいぼ胃炎(タコ足様胃炎) | 胃の出口付近にタコの吸盤のように白っぽい隆起が並ぶ。ピロリ菌感染や慢性的な胃酸刺激、薬の影響が関係することがある。 |
また、必要に応じて以下の検査を行うことがあります。
- 血液検査・便検査
-
感染や炎症の程度を調べるために行うことがあります。
- 画像検査(レントゲン、CTなど)
-
重症例や他の疾患の可能性がある場合に行われます。
急性胃炎の治療Acute Gastritis & Duodenitis-05
急性胃炎の治療は、原因や症状に応じて行われます。
- 生活習慣の改善
-
- 刺激物(アルコール、辛い食べ物、カフェインなど)を控える
- 消化にやさしい食事を摂る
- 十分な休息をとる
- 薬物療法
-
- 胃酸を抑える薬(制酸薬・プロトンポンプ阻害薬)
- 胃粘膜を保護する薬
- 必要に応じて抗菌薬(感染が原因の場合)
- 原因に合わせた対応処置
-
- 誤飲が原因の場合、状況によっては、高次医療機関で胃洗浄などの処置が必要になる場合があります。
- 胃カメラで異物を確認した場合は 異物除去、出血がある場合は 止血処置 を行います。
- 経過観察
-
軽症の場合は、生活習慣の改善や薬物療法で、通常数日〜1週間程度で症状が落ち着きます。
食あたり(食中毒)についてAcute Gastritis & Duodenitis-06
急性胃炎の中で、食べ物や飲み物が原因で起こる胃の炎症を、一般に「食あたり」と呼びます。
代表的な原因と症状は以下のようなものがあります。
| 原因 | 代表例 | 主な症状 | よくある感染食品 |
|---|---|---|---|
| 細菌性 | サルモネラ、カンピロバクター、O157など | 腹痛、下痢、発熱、吐き気 | 生肉、加熱不足の鶏肉・牛肉、卵、生乳 |
| ウイルス性 | ノロウイルス、ロタウイルス | 嘔吐、下痢、発熱 | 生牡蠣・二枚貝、加熱不足の食品、汚染された水 |
| 寄生虫 | アニサキス | 激しい腹痛、嘔吐 | サバ・アジ・イカなどの生魚、刺身 |
| 化学性・腐敗食品 | 腐った食品、食品中の毒素 | 嘔吐、腹痛、下痢 | 腐敗した惣菜、弁当、調理後長時間放置した食品 |
| 毒素型細菌 | 黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌 | 嘔吐、筋力低下(ボツリヌス)、下痢 | 弁当、サラダ、ハムや加工食品、缶詰、乳児期のハチミツ |
通常は数日で自然に回復しますが、脱水や出血を伴う場合は医療機関での点滴治療が必要になることもあります。
また、ウイルスや細菌による食中毒は他の人にうつる可能性があるため、回復まで仕事や学校を休む必要が生じる場合もあります。
急性胃炎とよく似た病気「十二指腸炎」についてAcute Gastritis & Duodenitis-07
急性胃炎と同じように、胃の出口につながる 十二指腸の粘膜に急に炎症が起こる状態 を 十二指腸炎 といいます。
十二指腸炎の症状は急性胃炎の症状とよく似ているため、上部内視鏡検査(胃カメラ)での鑑別が必要です。
十二指腸炎の主な原因
急性胃炎とほぼ共通しており、次のようなものが挙げられます。
- 胃酸の過剰分泌
- 暴飲暴食、アルコール、刺激物の摂取
- NSAIDs(ロキソニン・アスピリンなど)
- 強いストレス
- ピロリ菌感染
- 急性の感染症(一部の細菌・ウイルスなど)
- アレルギー性疾患(例:紫斑病)
- 炎症性腸疾患(IBD)
主な症状
胃炎と非常に似ていますが、十二指腸はより奥に位置するため、以下の症状が出ることがあります。
- みぞおちの痛み
- 胃もたれ
- 吐き気
- 空腹時に強くなる痛み(十二指腸潰瘍と同じ特徴)
- 背中の痛み(十二指腸は背側に位置するため)
※ 症状だけでは急性胃炎と区別することは難しく、
診断には胃カメラが有用です。
胃と十二指腸を同時に観察し、炎症の部位・程度・潰瘍の有無を確認できます。
軽症の十二指腸炎は無症状のこともありますが、重症化すると強い痛みや出血が見られる場合があります。
治療
基本的には急性胃炎と同じ方針で行います。
- 胃酸を抑える薬(制酸薬・PPIなど)
- 胃粘膜保護剤
- 生活習慣の改善(刺激物・飲酒・暴食を控える)
通常、数日〜1週間ほどで改善します。
原因が特定できる場合は、その治療が必要です。
- 薬剤性 → 中止や他薬へ切り替え
- ピロリ菌感染 → 除菌治療
- IBDやアレルギー性疾患 → 併用治療
さいごにAcute Gastritis & Duodenitis-08
急性胃炎は、暴飲暴食やストレス、薬の影響など、日常生活の中でも比較的起こりやすい病気です。
多くは自然に改善しますが、中には出血や感染症など、注意が必要な場合もあります。
- いつもと違う胃の痛みがある
- 症状が長引いている
- 吐き気や黒い便がある
- 市販薬で改善しない
このような症状がある場合は、無理をせずお早めにご相談ください。
当院では、必要に応じて胃カメラ検査を行い、原因を確認しながら適切な治療をご提案いたします。







